2009年08月18日11時41分

扉をたたく人

カテゴリ:生きるチカラ
2009年公開
監督 トム・マッカーシー
CAST リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス
http://www.tobira-movie.jp/

ちょっと、胸が苦しくなるほどの、孤独な人の映画でした。
妻に先立たれ、全てを拒絶しているかのような孤独な老教授。
でも実はまだ誰かと繋がりたい気持ちがあって、それが最初は妻のピアノだったりするのですが、これは現実を拒絶しているのと同じだったりするわけで。
そんな彼が不法滞在者のカップルと出会い、まるで少年のように無邪気に心を開いていく姿が、印象的でした。
シリアの青年タレクはジャンベを叩くその優しい叩き方で、老教授の胸の扉を叩いたわけですね。
そして教授は、ジャンベを叩くことによって、もっと大きな扉を開けようとしたのでしょう。
名脇役と名高いリチャード・ジェンキンス、役者人生40年目にして初主演、素晴らしかった。
2009年07月16日16時47分

サンシャイン・クリーニング

カテゴリ:生きるチカラ
2009年公開
監督 クリスティン・ジェフズ
CAST エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、スティーヴ・ザーン、アラン・アーキン
http://www.sunshine-cleaning.jp/

大好きな映画『リトル・ミスサンシャイン』の製作チームが作っていて、これまたとっても素敵な映画でした。
何をやっても冴えない姉妹の奮闘記というか、そんな感じの話で。
『リトル・ミスサンシャイン』で最高のお爺ちゃんを演じたアラン・アーキンが、こちらでもまた最高のお爺ちゃんです。
この製作チーム、爺と孫を描かせたら天下一品やなあ。

『魔法にかけられて』のエイミー・ワイズ、『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラントの、姉妹も、なんだかすごくリアルで、可愛くて、魅力的でした。
アタシも姉妹(の姉)なのでねえ・・・いろいろ思う所がありましてねえ・・・。
昔はチアリーダーで人気者だったのに、今は冴えないシングルマザーで、リッチな友人を見返してやりたいと力が入る姉。
母親の記憶がなくて、どうしても寂しさを埋められない妹。
どちらの心情も、なんだか分かる気がするし。
こういう時って本当に「お父さん」って役に立たないんだけど、でもやっぱり最後はね、って感じがまた良いんですよ。

あ、そうそう、登場した瞬間「クロエー!(@24)」とつぶやいちゃった、メアリー・リン・ライスカブが気に入ってます。
またちょっと変な人の役で。
2009年05月12日16時41分

スラムドッグ$ミリオネア

カテゴリ:生きるチカラ
2009年公開
監督 ダニー・ボイル
CAST デーヴ・パテル、フリーダ・ピント、マドゥール・ミッタル、イルファン・カーン、アニル・カプール
http://slumdog.gyao.jp/

○のさん!
と、思ってしまいますが 笑。

主人公が、無教養というよりもむしろ足りないんじゃ・・・と思うピュアさに、少々おののきました。
しかし、周りを取り囲む強力な「悪」に自ら染まることで生き延びる術を見いだす兄サリームと、抗わないことで身を守るラティカにはないものを、彼は持っていたんですね。
それはウルトラ級の強運。
すごいよジャマール。
超ラッキーボーイだよねジャマール。
だいたいサリームの弟に生まれてきたことが、既にラッキーだったと思う。
お兄ちゃんが全ての悪を引き受けてくれたから、ピュアさを失わずに生き延びられたんじゃないだろうか。
アタシは自分が"姉"だからか、妙にサリームに肩入れしてしまいました。
まあ、そうやってお兄ちゃんに守られたピュアさが、ジャマールに強運を呼び込む力を与えたんだと思う。
そしてそれが、最終的には生きていく上で一番強いものだった・・・のかも。
この子バカじゃなかろうかと思ったアタシが、きっと弱いのだろう。

主人公3人は、子ども時代、少年時代、青年時代と、それぞれの年代の役者が演じているのですが、これがまた見事だったなあと思います。
自然だったし、どの年代もパワフルで生き生きとしていました。

ダニー・ボイルの映画は、映像のコントラストとかも非常に好みなのですが、音楽もいつもかなりやられてしまってます。
今回もかなりクール♪
2009年02月17日12時18分

チェ 39歳 別れの手紙

カテゴリ:生きるチカラ


監督 スティーヴン・ソダーバーグ
CAST ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、フランカ・ポテンテ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ジュリア・オーモンド、ロドリゴ・サントロ

28歳の革命(http://movie.elf-fukuoka.com/?lid=2379)に続き39歳 別れの手紙。
キューバの政権で孤立していた彼が、革命家として国際的に活動を始めてからのチェゲバラ。
淡々と進み、いっさい説明もないので、つい「映画」であることを忘れてしまう映画なのですが、目を離せないのは、ソダーバーグの力量と、ベニチオの魅力かな。
いや〜、ベニチオ、不思議な魅力。
だって、ちょっとメタボですよね・・・その点がちょっと気になるんだけど 笑。
ぜんそく発作は相変わらず、めちゃくちゃリアル。
あれはもう死にたいくらいに苦しいんですよねえ。ううう。
もうやめて!休ませてあげて!!と本気で思ってしまいました。
・・・演技でしたね。そういえば。

彼がキューバでの革命で成功し、ボリビアで失敗したのは何故か。
キューバにあってボリビアになかったもの。
情勢の違いも勿論あったんだろうけど、でもやっぱり情報をよく読むカストロの存在もあるんじゃないかなあ。
理想主義者であるゲバラは、キューバでも周りと孤立していたらしいし・・・。
残念ながら、人は理想だけでは生きていけないんですよね・・・。
彼は、素晴らしい人だったのかもしれないけど、決して完璧ではなかった。
現実を見る力が弱かった。
ゲバラを詳しく知らずにあの映画を観ると、そういう風に感じます。

それにアタシはやっぱり武力闘争は否定したいと思う。
それも理想に過ぎないんだろうか。
2009年02月08日23時23分

誰も守ってくれない

カテゴリ:生きるチカラ


2009年公開
監督 君塚良一
CAST 佐藤浩市、志田未来、松田龍平、柳葉敏郎、石田ゆり子、佐々木蔵之介、木村佳乃

泣くかと思っていたのですが、途中憤りでスクリーンを引き裂きたくなりました 笑。
いや、笑い事じゃなくて、本当にね。
マスコミも酷いですが、それよりも酷い一般人の浅ましさ。
この映画で、なによりも心に強く訴えてくるのは、そこですよね。
「実際はあんなに酷くない。」と言う人もいるけど、そういう問題じゃない。
(ていうか実際も似たようなもんだし。)
匿名性という隠れ蓑の後ろから人を嬲る卑劣さ。
社会責任から逃れた人間の本性はこれほどまでに汚らしいものなのか。
反吐が出る。

そんなわけで、加害者の家族は被害者か、というテーマはどこかかすんでしまっている感も否めませんし、佐藤浩市演じる刑事もどこかイマイチ。
てめえの家族とてめえ自身はてめえで守れ。
って、そりゃないよ、子どもに。
って思っちゃったけどなあ。
その大人の余裕のなさも現代社会の現実か。
だいたい、加害者の家族が面白いほど薄っぺらだし。
なにあの親。
もしかするとアタシあの母親に一番腹を立てているかもしれない。
あーやだやだ。
こんな世の中本当にヤダ。
どうすればいいんでしょうねえ。
この映画、うっかり絶望しちゃいそう・・・。

あ、佐々木蔵之介がまたまたいや〜な役で出ていますけど、この人イヤな役上手いな・・・。
好きな俳優さんなんですけどねっ 笑。

ところで、この映画を観る前に、映画前夜みたいなテレビドラマ「誰も守れない」があって、テレビを見たら映画を観たくなる仕組みは上手いなあと思いました。
2009年01月24日03時35分

チェ 28歳の革命

カテゴリ:生きるチカラ


2009年公開
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
CAST ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、フランカ・ポテンテ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ジュリア・オーモンド、ロドリゴ・サントロ

チェ・ゲバラのこと、当時の社会情勢のこと、知らないとちょっと難しい映画。
ベニチオ・デル・トロ狙いで行った(好きなんです。)アタシなんかは、特に前半、矢継ぎ早な台詞に理解が追いつかず。
でもすごーく面白かった・・・というか、興味深くて、何度も観たいと思いました。
何度も観て、理解したい。

デルトロは似てると評判でしたね。
しかし28歳の役にしちゃ・・・オジサンですが 笑。
実際のチェはもっとイケメンで、ガエル・ガルシア・ベルナルのほうがより近いような気がしないでもない。(実際彼はチェ・ゲバラ役を何度かやってますよね。)
が、この役はやりがいあっただろうなあ。
観るものを魅了する迫真の演技じゃないでしょうか。
個人的には、山を歩く彼が喘息の発作を起こす度に、苦しくなりました。
いや、アタシも喘息もちなんで。あの呼吸音、すごくリアルなんだもの〜。
あれは苦しいんだよね〜。ううう。
山歩きなんて自殺行為だわ。

喘息持ちだったのもビックリでしたが、チェ・ゲバラって武力派の革命家ってことで、ちょっと誤解していた部分が多かったかも。
医師であり、清廉潔白な人物だったことを知り、改めて、彼をもう少し詳しく知りたくなりました。
2008年03月09日16時13分

潜水服は蝶の夢を見る

カテゴリ:生きるチカラ


2008年公開
監督:ジュリアン・シュナーベル
CAST:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ

さすが!本の雰囲気は壊れてなかったと思います。
本の方が、ジャン=ドミニクのユーモアや人柄がよくわかりますが、映画は彼の視線を模することで、なんとも美しい映像に。
彼の目に映る女性の美しさは、ため息ものです。
ほんっと、女性賛美したくなります。
美しい色彩の、想像の世界、彼の周りの人々、彼の皮肉とユーモアたっぷりの心の声。
そこで不意に挿入される客観性を持ったカメラワーク。
全身麻痺の彼の姿を見て、ハッとします。
そうだった、彼は、全く動けないんだった。
彼はなんて知的で、愛すべき男であることか!
スクリーンがどんどんぼやけていくのを観て、「ああ、ジャン=ドーが泣いているんだ。」って思うときの切なさ。

お父さんと電話でコミュニケーションをとるシーンが、もう最高に泣けました。
妻に先立たれ、部屋から出られないほど足腰が弱ったものの、たまに訪れてくる愛すべき息子がいて安心且つ幸せだったのに、その息子が脳卒中からロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)に陥ってしまい、それなのに、世話をすることは勿論見舞いにもいけない自分。もうきっと息子には生きて二度と会えない。
そこにどれだけの嘆きがあるだろう。

実は、アタシには、子どもの頃の病気で半身不随になった叔母がいて、彼女も、硬い表情、動かず力加減のできない手足の内側に、とても瑞々しくナイーブな感性を持っていました。
筆記でのコミュニケーションに現れる女性らしさに、ドキドキした記憶があります。
去年、不遇のうちに、亡くなったけれど。
この映画を観て、そんな彼女のことを思い出しました。
2008年02月03日22時27分

母べえ

カテゴリ:生きるチカラ


2008年公開
監督:山田洋次
CAST:吉永小百合 、浅野忠信 、檀れい 、志田未来 、坂東三津五郎

よ、よ、吉永小百合がめちゃくちゃ可愛いんですっっ。
やっぱりスゴイ女優さんです。
彼女だけで映画撮れちゃうのが分かる〜。
そりゃ、近所のオジサンも夫の教え子も、メロメロになっちゃうのもわかるわ。
ありだよ、ありあり。

とはいえ、母べえは、普通のお母さんなんです。
普通に、父べえを信じ、子どもを育て、一所懸命、生きていく。
泣き虫だけど、父べえを悪く言う人には父だろうと、教授であろうと、譲らない一本気なところもあって。(でも警察の人間相手には耐え忍んでた。そこがまた胸を打ちます。)

辛く苦しい戦時中の話ですが、戦争シーンはただ1つだけ。
浅野忠信、美味しい役でした。
凛とした姿が印象的で。
でも、それよりも戦争の悲惨さが伺えたのが、東京大空襲後のなんにもない風景でした。
ほんのちょっとしか映らないんですけど、「なんにもない」というのに、ハッとします。

戦争で無くすものの大きさが、あの白い風景に象徴されているようで、ただただ、悲しみが染み渡るようでした。
2008年02月01日04時01分

陰日向に咲く

カテゴリ:生きるチカラ


2008公開
監督:平川雄一朗
CAST:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、西田敏行、三浦友和、緒川たまき、平山あや、塚本高史

アタシ、緒川たまきが、顔も体も仕草も大好きなんですが、今回、彼女の声に泣かされましたね〜。
あの手紙は泣いちゃう。
もう号泣。
ただでさえ「母」ものは、泣きのスイッチが入っちゃう要素なのに。

その他のキャストもステキでした。
三浦友和は『転々(http://movie.elf-fukuoka.com/?lid=339)』でもユーモラスでじんわりな演技を見せてくれていましたが、今回もまたユーモアと、哀しみとで魅せてくれましたね〜。さすが!
さすがと言えば、西田敏行も最高。ホームレス姿が自然過ぎて・・・ 笑。
いるよいるよ、福岡にもああいうオジサン。

群像劇にしては、最後ちょっと1つに繋がり過ぎちゃってる気が。
おかげで、絡んでこないアイドルとファンのエピソードが少々浮いてたかも。
でもすごく可愛いエピソードで、好きです。
家族の再生や希望が爽やかに感じらる結末に、観終わったときは「アタシも頑張ろう!」って柄にもなく思える作品でした。
最後の「笑い」が、すごーく好き。

実は、ちょっとよく分からない部分があって、帰りに小説の方も買って読んでみたのですが、そしたら、脚本のアレンジっぷりがまた見事だったことに気付きましたよ。
うまいな〜。上手く家族をテーマにまとめたな〜。
とはいえ結局、映画内の疑問だった、モーゼはどういうつもり?な部分はわからなかったのですが。

しっかし、宮崎あおい、ばりかわ。
2008年01月21日21時34分

4分間のピアニスト

カテゴリ:生きるチカラ


2008公開
監督:クリス・クラウス
CAST:モニカ・ブライブトロイ、ハンナー・ヘルツシュプルング

ピアノの天賦の才能を持つ女囚 VS 老齢のピアノ教師。
「VS」って語弊があるかもしれないけど、でもそんな感じなんだもの。
せめぎ合い、高め合い、時に寄り添い、時に反発し。
女優2人の演技に圧倒されます。
60代なのに、80代にしか見えないモニカ・ブライブトロイ。あの姿勢、動作。まるで老体にむち打って仕事してるんじゃないかと、うっかり心配しちゃったくらいヨボヨボなの。
そして、どうしてもピアノを弾かずにはいられない心が伝わってくる、透明感のある繊細な演技のハンナー・ヘルツシュプルング。

2人とも心を閉ざしているんだけど、若い故にジェニーの方が、まだその扉は柔らかく、トラウデの扉はもうだいぶ硬く錆び付いている感じ。
でもその扉も、ジェニーの圧倒的な才能がついに開かせることになって。
最後は2人の音楽の世界の戦い。
それは、最初から違う世界だったから。
普通のクラシックにおさめなかったのは、ドイツらしいかな。
ちょっとビックリしたけど、わかりやすくはあるし、素直にかっこ良かったし。
ドイツはクラシックの歴史がある分、その世界を余裕で越えてきちゃうんじゃないかな。

肩を揺らすチンピラのような歩き方をしたあと、とても優雅にお辞儀をするジェニーに、全てが表現されている気がしました。
あれは見事だった〜。
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